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排ガスの種類/浄化方法と排ガス規制等について簡単にまとめてみた

 

今回はそもそも自動車の排ガスとは何なのか、それはどのように排出されているのか、そしてどのような規制があるのかについて簡単に概要をまとめてみた。

 

排ガスの種類/エンジンの燃焼と触媒について

 排ガスの話をするには、エンジンの燃焼の話をしなければならないので、それらも簡単に述べていく。

排気ガスは、CO2(二酸化炭素)、CO(一酸化炭素)、HC(ハイドロカーボン)、Nox(窒素酸化物)、スス(PM/PN)が存在する。これらの存在割合は、燃焼条件によって変化する。

まず、燃焼には理論空燃比と呼ばれる領域があり、それは空気:燃料を14.7:1で燃焼を行うことである。この領域での運転をストイキ運転(ストイキメトリー)と呼ぶ。また、理論空燃比と比較して、燃料の多い領域をリッチ、燃料が少ない領域をリーンと呼ぶ。これらは言葉の定義であるので覚えるしかない。

このように燃焼条件によって、排ガスの割合は変化する。リッチと呼ばれる燃料が濃い領域でのエンジン燃焼では、COとHCが多く排出され、リーンと呼ばれる領域での燃焼では、Noxが多く排出されるといったように、CO/HCとNoxはトレードオフの関係がある。

また、Noxは燃焼温度と燃料の濃度によって、PM(スス)とNoxの発生に分かれることで知られている。燃料が濃いとき、PMが発生して、燃料が薄くて温度が高いときNoxが発生する。

排ガスは以上のようにトレードオフの関係が多く、なくすことは不可能なので、浄化してきれいな空気にする必要がある。

ここで、触媒が使用される。

触媒とは、排ガス成分を取り除き、きれいな空気に変換できる魔法のような工業製品であり、三元触媒が有名である。

3元触媒は今では必須のものとなっており、HC,CO,Noxが同時に浄化できるものであるのだが、触媒が働く範囲もまた決まっており、ストイキ領域付近の一般にウインドと呼ばれるごくごく狭い範囲内でしか効果がない。ストイキ領域を外れると浄化されない成分が出てきてしまう。リッチではNoxが浄化され、HCとCOは浄化されず、リーンでは逆にNoxが浄化されず、HCとCOは浄化される。

現在のエンジンでは、O2センサーを用いてストイキ領域のコントロールをしている状況だ。

ただし、ガソリンエンジンであれば、始動時や加速時などは(これからはすべてのエンジンがストイキになっていくだろうが)リッチ領域で運転されており、また、ディーゼルエンジンはリーンの領域で運転されている。ガソリンエンジンの場合は、触媒は増やさず、早期暖気のために、触媒のレイアウトを工夫するなどをしているが、ディーゼルエンジンでは、NoxとPM(スス)専用の触媒が追加される。それらはNox吸蔵触媒やDPFと呼ばれる。

このように現状では、ガソリンエンジンでは燃焼領域をコントロールして、3元触媒を使って排ガスの浄化を行っており、ディーゼルエンジンでは、3元触媒(正確には酸化触媒)+Nox/PM用触媒を用いて排ガスの浄化をしている(EGR等で排出量の低減の工夫も同時に行っている)。

排ガス規制と燃費(CO2排出量)規制について

 世界中で排ガスを規制する理由は、地球環境はもとより、人体に影響があるからである。これらは現在、ヨーロッパはユーロ6d、アメリカはTier 3が、そして日本ではポスト新長期規制と呼ばれる規制が存在する。また、中国などはヨーロッパのユーロ3など、昔の緩い基準を設定している国が多い。

有名なアメリカのマスキー法等から現在まで、着々と規制値が厳しくなっているが、最近の排ガス規制のトレンドが2つある。

一つ目は実走テストへの移行である。今までの規制値は卓上試験と呼ばれ、ある決まった領域(エンジン回転数やトルクの変動範囲が狭い)においての排ガス排出量を検出して判断していた。それが、ヨーロッパのRDE試験が一番広範囲なのだが、エンジンの広範囲における排ガス排出量のチェックに変更されている(実際の規制数値自体はユーロcからユーロdへ変更するときに2~3倍高い数値を規制値に設定している)。

二つ目は、PMという粒子状物質の重さを計測するという基準から、PNと呼ばれる粒子の個数までを規制する動きが出ていることである。

一つ目の何が厳しいかということを説明するために、わかりやすく燃費で説明しよう。よくあるカタログ燃費と呼ばれるものと実走行時の燃費の乖離が叫ばれて非常に長い時間が過ぎているが、今のエンジンのプログラムは、カタログ燃費用にチューニングされている。つまり、カタログ燃費をたたき出すために、カタログ燃費を計測するときに使用される範囲が高燃費になるようにセッティングしているのだ。これ自体は別に不正でもなんでもないが、ある特定範囲での燃費調査と広範囲を使用する実走行時でこれだけ燃費が違うということは、当然ながら燃焼条件等が異なっており、そこから排ガスの出方も異なってくるのである。当然、燃費だけでなく、排ガスでもこの乖離が問題視されているし、燃費と同じことが行われている。

フォルクスワーゲンは不正ソフトを試験時のみ働くようにして、そのプログラムが実走行時に働かなくしていたのでブラックであるが、グレーゾーンとしてよくあることは走行モードが決まっている試験条件範囲でのみ有効な対処法を用いてエンジンをチューニングして規制をクリアしていることである。フォルクスワーゲンとの違いは、不正ソフトがないので試験条件範囲の運転条件で実走行しているときには効果があるということが違いである(もちろんよくはない・・・がルール違反ではない・・・)。

実際に、ディーゼル車の話になるが、国土交通省が平成27年から開始して平成29年にまとめた【排出ガス不正事案を受けたディーゼル乗用車等検査方法見直し検討会】の最終まとめでは、検査結果と実走行時の排ガス排出量が最大で10倍異なるという事例もあったという。

つまり、今後は全運転条件において排ガスが聞く対策をする必要があるということで技術的難易度が高くなるのである。

二つ目についてだが、ガソリン車でもPMの規制がなされてきているが、ひどいのが、PNである。ガソリンエンジンの話だが、最近時のガソリンエンジンはストイキ直噴エンジンが主流になっている。このストイキ直噴はPMは少ないが、PNが多い、つまり、量はすくないが、細かい粒子が出るエンジンとなっており、この規制はストイキ直噴と呼ばれるエンジンを狙い打ったものなのである。

個人的な意見になるが、一つ目の話は技術難易度は上がるが、これからは小手先の技術でなく、本質(エンジンの燃焼開発や触媒開発等)を改良しなければならないということにつながるので、個人的には賛成である。ただ、二つ目の話はちょっと行き過ぎているように感じる。

また、自動車の規制でもう一つ大きなものは燃費(CO2)規制である。

これらは、ユーロ圏ではCAFÉ、アメリカ(カルフォルニア)ではZEV法がある。

この内容は、自動車会社の全車種のCO2排出量が規制より多いと罰金が科せられるという仕組みである。実際にアメリカでは、クレジットと呼ばれる二酸化炭素枠の売買が行われており、テスラ自動車から各社がそのクレジットを購入しているような状況である。また、これらはハイブリット技術に対して厳しい数値かつ、電気自動車に有利な数値を出している。ハイブリッド技術を優遇しないのは、ハイブリッド技術が日本の独壇場であるからだ。

この燃費規制と排ガス規制の厳しさから、自動車各社は電気自動車にシフトしようとしている。特にヨーロッパメーカはCO2排出で有利なディーゼルを盛大に推進して盛大にこけたので、その直後に何事もなかったかのように電気自動車にシフトするぞ!という戦略に打って出ている。

おまけ:電気自動車は本当に環境にいいのか

電気自動車が世界各国でもてはやされているが、私自身が電気自動車の可否を判断するために着目しなければならないポイントと考えているものが2つある。

一つ目は有名だがWell to Wheelの話である。電気自動車は、世界各国の発電方法によって総CO2排出量及び排ガス排出量(火力発電のガス)が異なるということである。ブラジルなどはアマゾン川での水力発電量が非常に多いため、電気自動車に有利な地域であるが、火力発電が多い国では、CO2排出量が総量でみたとき、多くなる可能性もあるのである。

つまり、目的として、規制を策定した人々が本当にCO2や排ガスの総排出量を少なくしたいと考えているならば国ごとに個別に判断する必要があるということである。

二つ目は電気自動車の特性を加味した内容になっているかどうかである。これはどのようなことかというと、電気自動車はエアコン使用時は非常に燃費(電費?)が下がることで有名であるが、今の議論ではこれらがなされていない状態である。一つ目のWell to Wheel の比較をしたときでさえ、おそらくエアコンがついていない状態での比較であろう。

寒冷や熱帯の地域でなくても今の時代、エアコンは必ず使用する+自動車のエアコンは非常にハイパワーなものが選ばれているため(理由は急速に車内を冷やす or 暖気する必要があるから)、その状態での燃費および排ガス量を比較しなければならないと個人的に考えているが、これらについてはあまり議論がなされていないように見受けられる。

世界的に潮流が電気自動車になっているが、個人的にはリチウムの埋蔵量や上記したものも含めて燃費規制や排ガス規制を見直す必要もあると考えている。