【かおかぼ】のブログ

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ライフネット生命ついて考えてみた

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ライフネット生命はなにを行ったのか

 従来の生保の収益構造である[付加保険料]と[純保険料]の比率を全面開示したことにより、従来タブーとされていた手数料金を明確にし、[子育て世代の保険料を半額にして安心して赤ちゃんを産んでほしい]、[正直な経営を行い、わかりやすく安くて便利な商品・サービスを提供する]という理念や考えをもとに、ネット保険の販売を行ってきた。また、はじめはネットのみの販売で、生保営業、広告費などを抑制することによって割安な保険料で保険を掛けることができるとしていた。※ただし、共済など、従来から割安な保険は存在しており、おそらく大手生保の保険料と比較しているものと思われる。

 

保険はコモディティ商品

 

現在、ライフネット生命では販売契約数の伸び悩みが問題となっている(2011年度に対して2015年度は8割減)。これはネット生保会社が乱立しており、保険会社自身は、登録など国の規制があるが、商品(保険内容)自体は技術も専門性もいらず、すぐにマネが可能な商品であることが原因である。このため、他のネット生保会社および、通常の生保会社でも、同等の値段で同等の保険内容が提供されている。このように、商品に差が生じなくなると資本力・知名度(信頼性)・営業力で選ばれることになるため、販売契約数が伸びないのである。

 

ライフネット生命の現状

ライフメット生命は、創業以来、一貫して赤字が続いている経営状態である。従業員数は約120名、売上約90億円となっており、2018年度135億円、そして黒字化を中期計画にあげている。また、販売をインターネット直売のみでなく、KDDIおよび、代理店(保険の窓口等)など、従来の保険と同じような売り方を行うなど販売方法の多角化を行っている。販売場所を増やし、販売数が増えるのはよいが、その分手数料が大きくなり、効率が下がるというジレンマを抱えている。また、上で述べたように販売場所を増やすだけでは差別化ができないので、従来の生保とどう違うのかが分からず、値段も変わらないのであれば、この方法はうまくいかない可能性が高い。このように、成長が鈍化し、現在の契約数でも赤字という構造であり、さらにこれからの成長への道筋も明らかになっていない。

 

ライフネット生命の功罪

このように厳しい状態が続いているライフネット生命だが、当然、株価も下がっている。上場時には1326円をつけていたが、その後だらだらと下がり続けており、上場ゴール状態となっている。しかし、現経営陣らはすでにキチンと株を売却済であり、現経営陣の持ち株は出口22200株、岩瀬15000株に過ぎない。これらの結果から、優秀な保険のプロである彼らはこの事態が起こりうると当然予想していたのだろう。

 

これらから、彼らの行動の整理を行うと

 

  1. [子育て世代の保険料を半額にして安心して赤ちゃんを産んでほしい]などで、保険料半額というインパクトあるキャッチコピーを作り、社長等が積極的にマスメディアなどで露出して上記を繰り返しアピールし、良イメージを作り出す優れたマーケティング手法を用いる。また、手数料開示など業界のタブーだが、実際に収益的には痛くもかゆくもないことを行い、良イメージを築く。
  2. これにより、契約数が増え、上場まで持っていき、上場ゴールを行う。
  3. 他社にまねされるなどして差異がなくなり、契約数が厳しくなるが、増資増資の資本注入を行い、販売多角化により収益率よりシェア率を優先する(もともとコモディティ商品は薄利多売が基本であるが認可制産業のため価格がある程度高い)。
  4. ある程度シェア獲得して他社へ身売りか?

 となる可能性があるだろう。

一方、よい点としてライフネット生命が誕生した後、オリックス生命のように、比較広告を作り、競争を激化させようとする会社も登場していたことからも、共済などを除く既存の保険料を安くする一助になったと思われる。