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専門性とその身に付け方

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技術者育成において、いや、すべての人材育成において専門性を持ち、それを高めるということが大事であり、I型人材からT型人材へ、それをさらに進化させたΠ型人材などになることが望ましいと一般に言われている。それぞれ、I型人材は高い専門性を持った人材、T型人材は高い専門性を持ち、それを軸としてそれ以外の多様なジャンルについても議論ができる人材、Π型人材は、さらに専門性を増やし、二つの高い専門性を持ち、多様なジャンルについても議論ができる人材である。そして現在は○○型人材が・・・というような記事まで見かけるが、どのようにして専門性を身に着けるかについてはあまり議論がなされていないように思う。また、そもそも専門性とはなんなのか。ネットで検索すると特定の領域に関する高度な知識と経験のこととある。このことから専門性を言い換えるとジャンルという言葉が当てはまるだろう。つまり、○○の専門性が高いということは○○のジャンルについて詳しいということを意味しているだけだ。では、そのような人材になるためにはどうすればよいのだろうか。

 

専門性を身に付けるためには(専門性の入り口)

どんなことでもそうだが、勉強すれば身に付く・・・だけでは、[地球に酸素があるのはなんで?⇒地球だからだ]というぐらい中身のない答えになってしまうのでもう少し掘り下げて考えてみよう。

まず、勉強する内容の選定だが、学生であり、研究を行っている人間であれば、その研究室の分野の内容を、社会人であれば、自分の担当している業務に関連する内容にする必要がある。

専門性を身に付ける第一ステップは、専門用語を覚えることから始まる。これは専門性というより、すべての事柄で必要だろう。なぜ、これを意識するのかというと、単語の意味を知らなければ仕事で会話するときに意味がわからないからだ。例えば、ゲームをするときにゲーム特有の用語をゲームをやりながら、説明書を読んだりして、それぞれの用語の意味を理解(暗記)していくと思う。つまり、仕事(ゲーム)をしながら専門書(説明書)を読んで勉強する必要があると言うことである。

この時点で、ようやくその分野の扉を開ける鍵を手に入れた状態となり、語句の意味を分かりつつ、自分の仕事に必要な部分を優先的に読んでいけばよい。このプロセスは、T型人材でいうところの横棒、幅広い知識、多様なジャンルで議論ができる人間になるために必要なステップでもある。私はT型人材を多ジャンルの専門用語の意味が理解でき、自分の詳しいジャンルの視点(考え方)で議論中に意見が言える人間であると考えている。

 

専門性の高め方

ここから、専門性の高め方について入るが、まずはっきりとさせておく必要があることは専門性を高めることは果てしないし、ある程度高めるだけでも非常に時間がかかるということだ。その理由をおこがましいかもしれないが自分自身が専門だと思っている内容で説明しよう。私自身が専門性が高いと考えている内容は広義で言えば材料強度(材料学も含む)である。

大学の学科は理系のみでも、機械工学科、電気工学科、情報工学科、建築・土木学科、生命・・・と無数にある。材料強度はその中の機械工学(土木・建築にも似たような分野はある)の一分野である。この時点で、材料強度学の範囲の狭さはわかると思う。しかし、材料強度学系の本のタイトルをみると、材料強度学、材料学、材料組織学、材料力学、弾性力学、弾塑性力学、塑性力学、金属疲労、破壊力学・・・・となっており、もちろんさらに細かく分類して本になっているので多すぎてここでは挙げきれない(例:転移論、フラクトグラフィー、マルテンサイト変態等)。専門でない方は何を言っているかわからなくてあたりまえだが、このように狭い分野でも無数に本が出版されており、非常に奥が深いということである。

 では、どこから手を付ければよいか。それは基礎からである。基礎は何事も大切であるし、他分野に応用できる考え方が多く含まれている。その基礎をどのように見つけるかというと、学科のカリキュラムの低学年で教えている内容や検索したときの本の多さなどから判断すればいいだろう(もちろん、信頼できる詳しい人に聞くというのが手っ取り早い)。

そして、頭のいい方は別かもしれないが、凡人の私の経験的には、何冊か同じ内容(タイトル)の本を購入して読むほう良いと思う。なぜかというと、著者によって専門(専門内の専門・・・なぞかけみたいだが)が違うから内容が微妙に異なるということと、説明時の表現が違い、頭に入りやすい・入りにくいがあるからだ。そして表現がすっと入ってくる本があったら、何回も読むことによって暗記する。これで基礎ができるのである。理想は九九と同じレベルで暗記することであるが、仕事上で議論するときにその分野の視点でものが言えるようになればひとまずOKだと考える。その後は折を見て繰り返し本(同じ本でもよいし、ちょっと違う本でもよい)を読み、[忘れ防止+専門性をさらに高める]をすればよいだろう。そして、その後に仕事上近い分野の研究論文などを読み漁るのである。

論文を読むということは、研究開発者にとってあたりまえであるがその理由として本に書いてないこと、一般化されていないことが書かれているので、基礎を固めた後に専門性を延ばすために必要だからだ。しかし、論文は本よりも不正(捏造・改ざん)の可能性が格段に高いことを意識して読む必要がある。また、論文を読むだけで、本を読まない人間は深い考察はできない。論文は即効性があるものなので、業務上時間がないときは論文を読んでその場しのぎをすればよいが、専門性を身に付けたいのであれば、その後必ず本を読む必要があると考える。その理由は繰り返しになるが、論文は基礎ではないので、ワンポイントでしか役に立たないことが多いからだ。

 

 

長上になったが、簡単にまとめると専門性の身に付け方と高め方は

 

専門用語を覚える→基礎となる本を読みこんで暗記(理想は九九レベルまで)→論文を読み込む

 

の流れで行う必要があると考える。