【かおかぼ】のブログ

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現在80代の著者の【60歳を過ぎると人生はどんどんはおもしろくなる】という本を見つけてむかついた話

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こんな本があった。↓

 

【60歳をすぎると人生どんどん面白くなります】

 

この本を読んでもいないし、この本の執筆者個人を攻撃しているわけではないと一言断っておく。しかし、俯瞰的にみて、現在80代の人間が60歳から人生最高!!みたいなトーンでものを言われると過去に比べて重税となっている現役世代にはたまったものではないと感じた。私は現在30代前半の年齢であるが、このように感じる人間も多いのではないかと考える。アマゾンの評判では高評価ばかり(笑)の見事な本なのかもしれないが、私にとっては、題名を見ただけで、不快感を与えられる本であった。今回はこの本をきっかけに世代間の違い等をつらつら述べていきたいと思う。

各種税金/年金保険料などの上昇具合

 現在80代の人間が、消費税を支払いだしたのは、50代からである。消費税率は1989年に3%で導入され、1997年に5%2014年に8%となっている。制度制定の問題でこの格差はしょうがないという人間もいるかもしれないが、消費税率が制定されてから(バブルがはじけてから)、日本の債務は増加の一途をたどり、現在の国の借金は1000兆円を超えている。

 

これらの財政不全を理由として、社会保険料ももちろん増額の嵐である。例えば厚生年金でみれば2004年から、13.9%から段階的に引き上げられ、2017年には18.3%に挙がっている(とりあえず18.3%で固定すると国は述べている)。その前までさかのぼれば、直近で一番高い平成8年の4年間は利率は17.35%となっているが、22年前なので、現在80代の人間はこの利率は支払っていないことになるだろう。つまり、一桁台から二桁前半の厚生年金利率のみを支払っていたのである。もちろん、現役世代はこれからずっと少なくとも18.3%を支払い続けることになるのである(これより上がるという可能性ももちろんある)。

 

さらに細かいことを言えば、健康保険料も支払い額が8%程度から10%に増額されているし、介護保険料も平成12年から制定されて、1.5%程度の税率が課されている。

 

そして、厚生年金保険料の増額が終わったとたんに(正確に言えば2013年から段階的に行っている)、控除額の見直しということを国は始めており、現在は、年収850万円以上のサラリーマンは手取り額の低下が起こる見通しである(より正確にいうと、22歳以下の扶養家族がいない場合に手取り額の減額が起こる)。

 

年金支払額からみても、マクロ経済スライドという指標を2004年から行っているが、実質行われたのは2015年である。この制度は、年金支払額の増加を抑制する(ある計算指標値を物価/賃金上昇率から引くことによって支払い額を減らす)ということと同時に、物価、賃金が低下した場合には年金支払額も低下させるという仕組みである。しかし、デフレであった2000年代には特例処置として、年金支払額の減額を行っていないという、意味不明な制度が制定されている(2004年以前は物価上昇値がそのまま、年金支払い額の増額率となっていた)。

 

世の中で、世代間格差やシルバー民主主義という見出しや本、記事をよくみることがあるが、これらを列記するとその通りと言わざるを得ないだろう。

 

このように、現状を見ると、国の借金金額は増え、老人が増加することによって社会保障額が増え、これらを返済させるために、現役世代の手取りが減り続ける世の中になっているし、これからもその仕組みが維持され続けるのだと考える。

 

このような現状を踏まえて、現在の80代が、60歳から人生ハッピーなどと妄言を世の中に打ち出すのは、現役世代の中で若い部類に入る私には不快感しか得られない。

 

また、この本の著者は銀行業界出身であると記述されている。私は一方的な偏見であることは自覚しているが、基本的に銀行関係の人には、嫌悪感を抱いている。なぜならバブルがはじけた後、国は、銀行に多額の資金注入を行ったが、高収入は維持されたままであるからだ。さらには、法人税もつい最近までは支払っていないからである。法人税も払わず、税金注入して、自分たちの高給は維持されていた業界に対しては、支払額は大した額ではないが一納税者として腹が立っている。(東京電力も同じ部類に入る。また、こちらは技術者としての視点で見てもありえない)。

 

本の内容はしらないが、題名等を見るに、【いくつになっても何かをやり始めることは遅くないからいろいろやってみよう】ということが書かれているのだろうと推測する。見かけたのはこの本なのだが、検索すると人生60から○○!!という本が乱立しているように思う。これはなぜなのか以下で見てみよう。

 商業的にみるとマスが大きい場所をピンポイントで狙った良い戦略

 

上記もしたが、この本を見かけた後、検索をすると、60歳から○○!!という本が量産されている。

 

この理由は、結論から述べれば、やはりこの世代は、人口が多く、金を持っている比率も多いからだと考える。

 

実際に総務省統計局が2017年時点の調査を行った結果では、(2人世帯)貯蓄額率を年代ごとにみると70代以上が38.5%,60代が30.9%の資産を持っている。つまり、60歳以上で日本全体の70%程度の資産を持っているということになるのである。この中にも当然、金持ちと貧乏人がいるだろうが、金持ちの比率が各世代と同じでも、絶対量(人数)が多いので、やはり、最大のターゲット層になるのだろう。

そして恐ろしいことに、実際に団塊の世代が70代に入っていることが理由なのかは不明だが、人生70歳からが一番面白いや楽しいという内容の本も出版されているようである。

私個人の感情を抜きにしてビジネスとして考えれば、これらの本の出版は、わが国日本の最大の人口と資産額を持つ部分にフォーカスを当てた優れたマーケティングとなるのであろう。

世代間格差をなくすための施策=少なくとも医療費を上げてほしい

私は年を取って資産を築いた人間に文句をいいたいのではなく、一方的に若ければ若いほど損をする仕組みを変える必要があると考えている。現状では、築いた資産は我々のもの、さらにそこから借金して我々の老後の面倒まで見ろ、それを支えるのが若者の役目だと言っているようなものである。なぜなら年金は積み立て式ではなく、賦課方式という方式であるからだ。賦課方式とは、簡単に言うと今支払っている保険料が老人の年金となることである。つまり、30代前半の私の年金は、まだあればの話だが、私以下の年齢の方々が支払うということになる。

 

借金まみれの現状で、一瞬で解決するという魔法は徳政令という名の借金の踏み倒ししかない。実際に日本でも最近時では戦後に起こっている(以下記事参照)。現在は戦後直後と同等以上のレベルで借金をしているので、戦後直後のことを出すのは大げさな比較でないだろう。

 

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このとき、よく耳にするのは、国の借金は国民が貸し出している金であるから問題ないという論調である。目を背けるために作り出されたものであると私は判断しているが、この論調をうのみにしている人間はよく考えていただきたいと思う。この論調を述べる人間は、そのほうが自分に取って得であるという人間か、何も考えずにうのみにしている人間しかいないからだ。

 

この貸した金を返させるという行為は、どのようにしてなされるのだろうか。銀行は、貸した金を返させているが、返さない人は法律に乗っ取って債権処理をしている。闇金等の業界では暴力も含めて利用して、金を利子付きで回収している。このように、借りた金を返させるということには、権力や法律を利用する立場にあるということや暴力をふるうことができる等、相対的に貸した相手より優位かつ上位な立ち位置にいる必要があるのである。

 

さて、国が破たんして借金を踏み倒したとき、誰を誰が裁き、どのように回収するのだろうか。おそらく何もできないだろうと考えているし、この質問に答えている人を私は見たことがない。これが私が、上記した国の借金は国民が貸し出している金だから問題ないという言葉を信じられない理由である。

 

では、どのようにすれば世代間格差がなくなるのか。

 

今の日本の人口分布では世代間格差をなくすのは非常に難しいだろうが、やはり医療費は安すぎるだろう。保険適用で医療費が安すぎるから、現在の大企業が作っている健康組合保険の4割近くが赤字を垂れ流すということが発生しているし、中国人等の日本の健康保険ただ乗りなどの問題も発生している。

 

いろいろしなければならないことはたくさんあるが、少なくとも医療費は増額する必要があると考える。

やはり、保険料を75歳以上は現在まだ1割しか払っていないが、少なくとも現役世代と同等の3割の負担にする必要があるし、薬の使用できるメニューも各年代ごとに分ける必要があるだろう。

 

最後に、たまに亡くなっていたことを隠して、年金だけ残された家族が受給という名の着服しているニュースをみるが、今一度年金受給者全員の本人確認を行う必要もあるかもしれないと個人的には考えている。