少し前には三菱自動車とスズキ自動車の燃費不正問題、また、同じ自動車業界では昨年発覚したVW(フォルクスバーゲン)の排ガス不正が起こっています。研究開発者がこのような問題にどのように向き合うべきか、実体験も含めて考えを述べていきたいと思います。
不正(捏造・改ざん)はどこにでもある
上記で述べたもの以外にも、豊洲市場問題、決算粉飾(オリンパスや東芝等)、学歴詐称(ショーン氏)、食品偽装(ココイチ廃棄)、年金記録の偽装、耐震偽装、新聞記事の偽装、医薬品の臨床データ偽装、東北大総長問題などなど、少し調べればあらゆる業界で不正・捏造が行われていることがわかる。
このことから
不正はどこにでもあり、なくなることはない
ということがわかるだろう。
研究開発部の現場の一例
大前提として不正・捏造は悪であり、そんなことをする人間は倫理感がないカスだと私自身は考えており、自分自身の研究開発業務においてはそのようなことは絶対にしていないということは断言できる。しかし、自分の勤めている会社で行われていないかと問われると答えはNoと言わざるをえないし、日常茶飯事に行われている。挙句にそのような人間でもいい評価をもらい(捏造しているのでいいデータがばんばん出てきて見栄えは素晴らしいため)出世することができるので、まじめに取り組むのが損というような状況になっていると感じている。実際の研究開発部門(比較的大手)はこのような状態となっていることが多いと思うし、大学の研究においても内閣府でまとめがあるように平然と不正が行われているのが現状だろう。
※もちろん、すべての人間はこのような人間であるといっているのではないが、多くの人が行っているのを目の当たりにしている。
経験や報道などを踏まえ、個人はどのように対応したらいいのか
身近に不正・捏造が行われていることがわかった場合、個人はどうすればよいのか?私自身上司にもいろいろ言ってきたが、出世が命の人間には下の人間が何を言っても無駄であった。また三菱自動車は新入社員が不正を指摘していたという報道もあったが実際には何も変わっていない。よって、今現在地位が高くない人間が上の人間に真っ向から抗議しても無駄である。
そこでおすすめするのが、見て見ぬふりをしておくこと(自分は関わらないことが前提)、またはどうしても告発したいのであればパナマ文書のように、絶対自分だとばれないようにしてから行う必要がある。なぜ、ばれてはいけないかというと、実際に岡山大学で不正を告発した教授が解雇処分となっていることからもわかるように、自分自身が非常に大きなダメージを受ける可能性が大きいからだ。
対応と同時に不正手法を学ぶ必要がある
上記で、個々人がいろいろいっても無駄であるので見て見ぬふりをしておくといったが、それと同時に意識して観察しておかなければならないことがある。
それは
どのように捏造を行っているのか、どのような捏造の手法があるのか
を観察し、学ぶ必要があるだろう。
この手法を学べば、論文を読むとき、また他人の発表(世間一般の情報)においてうそかもしれないという意識が働くし、捏造手法を見とけば怪しい論文・情報などにも気づきやすくなるはずだ。
最後にまとめると
・不正は関わらない、そして不正の手法を観察して学ぶこと
・不正(捏造)はどこにでもあることを意識して物事を観察して考えること
また自然科学分野においては可能な限り
・原理原則や基礎理論を頭に入れて物事を観察・考察すること
が必要である。
すべての分野において原理原則や基礎理論を頭に入れることは困難であるが、不正があるのは当たり前という意識をして物事を観察して考えることはできるし、誰しもが持つ必要があるだろう。