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大量生産に必要な考え方~統計(平均とばらつき)の利用方法~

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この世の中は、物であふれており、あらゆるものが大量生産されている。売れる、売れないは現在、性能が大体似通うものが多い(自動車・家電・パソコン等)ので、イメージと値段で物を選ぶ人が多いように思うが、大量生産するために必ずしなければならないものは品質の確保である。前回の記事(下記記事参照)で統計学の基礎は平均とばらつきを理解することだと述べたが、品質の確保にはこれが利用されている。では実際にどのように量産時に利用されているのだろうか。前回の記事を理解していることを前提に以下に記述していく。

  

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製品が生まれるプロセスと工程指数能力の考え方

 物を作るうえでの大前提として、ある商品を製作するとき、まったく同じものを製作するということはまず不可能である。また、製作できる限界レベルでまったく同じものを製作するとしたら、コストが膨大になる。このため、製造コストと製品の性能許容値との兼ね合いで製造条件が決まることになる。具体例を挙げると、機械図面の値(物の大きさ(寸法)のこと)には必ず公差といわれる製品が成立する許容範囲が存在する。この寸法範囲を守らないと製品の性能保証ができないよという意味であるが、これが厳しすぎるとコストが跳ね上がるので、設計者はコストと性能の兼合いで設計値を決めることになる。

(※何事にも例外があり、どうしても必要な場合は、安く作るための生産技術開発などを行ったりする。または、前回の製品の公差がこれだから、同じにするよという安易な理由も多々あるし、実際の設計現場ではこの理由の方が多いような気がする)

 

製品が生まれるプロセスは、超簡易的に述べると、ある製品の構想→製品の図面化→生産技術検討→工場で製造というプロセスになる。上記で、製品の図面化が終わり、生産技術検討が終わると工場で大量生産することになる。(※実際には製品の図面化と生産技術検討の間では、これつくって→作れないからこういう風に変えろというやり取りが多々行われている)

 

そして大量生産が始まり、安定して製品が作れるようになったときの製造ラインの品質を表す言葉として工程指数能力CP値というものが使われている。そしてCP値は1.33以上が必要である。このCPの根本的な考え方は前回の平均とばらつきの考え方が用いられている。これは、±3σ(標準偏差)のときを1として、±4σなら1.33、±2σなら0.67というように計算される。いちいち言葉が変化して面倒だが、大量生産するためには基準に対して±4σを満たす必要があると覚えておけばOKだ。

 

以下に具体的に数値で示す。

 

設計値(寸法)が10mm±1mmとあったとする。このとき、実際の製品の寸法値を測定して平均値と標準偏差σを求める。(実際の寸法は10.1mmだったり、9.9mmだったりするので、平均値10mmからの差分の2乗平均で標準偏差が求まる)

そして、このとき、実際に測定して算出した平均値10mm±4σが9mm~11mmの間に収まっていれば、±4σを見たし、CP値は1.33以上ということになるのである。

 

このように大量生産時に必要な品質の確保には、統計の平均とばらつきの考え方が用いられていることになる。これが、私が統計の平均とばらつきの考え方が重要であると考える理由である。

 

また、工業製品に当たり、はずれがあるという理由もこれで説明がつくだろう。

 

測れないものは量産できない

 大量生産に対してもう一つ大切な考え方があるので簡単に以下に述べていこう。

 

ここまでは上記で、測定できることを前提に大量生産について話してきたが、この話の裏を返せば、測れないものは大量生産できないということがわかるだろう(芸術作品のように1品ものであれば関係ない)。

つまり、新しいものを製作するときには、(計測技術(機器)を計測機器メーカーから購入して用いることがほとんどだが)どこをどのように測れば品質の保証が可能になるのかも明らかにして、生産ラインで量産が始まるのである。

 

この見極めが不十分であったとき、かつ市場に流れてしまうとリコールが起こるのである。

 

また、市場に流れないときは不良率40%とかになる。つまり、100個作って60個しか製品として売り出せないということであり、残り40個はゴミとなる。(※実際に弊社で起こったことがある実話である)

 

つまり、どこをどのように測れば品質の保証ができるのかを明らかにするということも大量生産するためには必要なのである。

 

 まとめ

 

 上記で述べてきた大量生産するために必要なことを1フレーズで述べると

 

【管理項目と管理幅の設定を正しく行うこと】

 

である。

 

以下おすすめの統計学入門本の紹介