近年、効率化という言葉、例えば、○○して効率化、業務効率化テクニック○選などの個人的にまったく内容がないと思ってしまう記事や本があふれている。
もちろん、効率化を行うということ自体は正しい。しかし、それは仕事の中身をちゃんと把握している場合のみに適応できる考え方である。
このような記事や本の多くは仕事がどのように区分でき、そのうち何を効率化しなければならないかということは記述されていない。
多くはtodoリストを作るやスケジュール管理をする、メールチェックを頻繁にしない・・・などの表層的なテクニックのみ記述されているし、それを真に受けた人間、つまり効率化をはき違えたバカは1の努力で100の成果を出すというようなニュアンスのことを述べることになる。
このような勘違いをなくすためには、仕事というものがどのような要素で出来ているかを明らかにする必要がある。
そこで、ここではまず仕事を要素ごとに区分し、どの区分でどのように効率化を図る必要があるかについて記述していく。
仕事とは
現在、仕事をしている人間は日々の仕事を思い出してほしい。今現在している仕事を分けると【考える】仕事・【段取り】仕事・【作業】仕事の三つに分類できるだろう。私はこれらは非常に大切なことであると考えているが、日々の業務の中で多くの人が理解していないと感じている。よってそれぞれの事柄を簡単に説明していこう。
【考える】仕事
思考する仕事の中身とは、問題がない、もしくは答えがないことに対して、仮説を立てて、問題を作る・答えを導くということである。研究開発であれば、実験結果が出たとき、なぜそのような結果になるのかを説明すること、もしくは新しいプロジェクトを提案するなどがこれに該当するだろう。
考えるということ自体は以下記事で述べているので詳細は省くが、まず、【物事を詳細にする】のか、【物事をシンプルにする】のかを明らかにすることがスタート地点だ。
似たようなことが起こったときに、過去の経験が使えるときももちろんあるかもしれないが、ほとんど【考える】仕事に全く同じ仕事はないといってよいだろう。
【段取り】仕事
次に段取りについてである。段取りとは言葉の通りであるが、やることを整理して、最適な作業順序に組み立てることである。
私の身近な研究開発で言えば、大きなもので言えばプロジェクトの日程を決めることから、その日一日の実験から解析までをどのようにしていくかを決めることである。
昔の言葉で段取り八分という言葉がある通り、段取りはとても大切である。しかし、すでに何をしなければいけないのか、何をするのかは明らかになっているはずである(考える仕事で出しているはず)ので、それらを組み合わせることに本来、時間はかからないはずだ。
しかし、私の身近での話だが、ここが勘違いするポイントであると思う。この日程を作成するのに時間を非常にかけているおバカが多い。別に馬鹿にしているわけではないが、一般的に研究開発を行っている人間の給料はアルバイトよりは高いだろう。ここで、実際にシフト管理などはマクドナルドで言えば、アルバイトが行っている仕事である。にもかかわらず、これが非常に大変なことであるような顔をして行っている高給取り人間が弊社には多く存在する。こいつらは、何をするべきか、何をしなければならないかを考えずに、これじゃない、あれじゃないと作っては消し、作っては消しを繰り返しているのが原因だろう※。
また、そのような人間ほど、数週間~数年の日程はあほみたいに時間をかけて作成するのに、その日一日の仕事に対しては、今日何の作業を行うのかを整理してから仕事に取り組まない行き当たりばったりな人間が多い。
※:弊社だけかもしれないので、先に誤っておく。何がいいたいのかというと、シフト管理などの段取りは、チェーン店のように何をすることが決まっていれば、当てはめるだけなのである。
【作業】仕事
最後に作業であるが、これは頭を使わずに行動して達成・完結できることだろう。ルーティン・・・同じことを繰り返すことも2回目からは作業となるだろう。
ここでも勘違いを発生させるポイントがある。
具体例で言うとわかりにくいかもしれないが、機械でテストピースと作成すること(条件だし)と、それを解析する(材検)ことそれ自体はただの作業である。
しかし、基本的に人は自分が行っている作業は尊く、苦しい大変な仕事であって、人がやっていることは大したことがない楽ちん仕事であると思い込む習性があると感じている(体力的にきつい・楽は存在する)。このとき、自分の立場が上か下かでそのプロジェクト内に本来ならただの作業で難易度的に変わらないはずのものが仕事格差という形で現れてしまう。
もしも自分の上司や先輩がこのような頭の悪いタイプで、かつ、自分が下に見られる作業をすることになってしまったときは、どうすればよいか。
本題の趣旨とは異なるが以下に対策を記述しよう。
たいていこのタイプはごますりに弱く、能力がないゆえに自分に自信のない人間なのである。よってこのような人間には最低限のごますり、愛想を保ちつつ、きっちり仕事は手を抜き、勉強して自分を成長させることに意識をおくのが良い対策だろう。
無駄に逆らっても、もしくはすばらしい考察などをしてもこのようなタイプは意味をなさない。なぜなら、人は他人から言われて変わるのでなく、他人に言われたことに対して自分がそうだ、その通りだと気づくことによって変わるからである。いい結果を出しても自分の物にされるのがオチである。
趣旨とずれてしまったので話を本題に戻すが、仕事には3種類あって、それらが混ざりあった状態で現れることが多々ある。以下で、各仕事に対しての効率化とは何なのかについて述べていく。
各仕事に対しての効率化とはなにか
研究開発例で申し訳ないが、どのようにすればよいのかを見ていこう。例えば、Aを増やしたらBも増えたという結果が得られたとしよう。このとき、なぜそうなるのか、そのデータに信頼性はあるのかという疑問が生じるので、それを潰す必要がある。このときに何を行う必要があるかというと仮設を立てる必要がある。仮説を立てるためには自分の知識で仮設が成り立つならそれを用いればよいが、それができないときには必ず情報・知識を収集して勉強し、頭に入れる必要がある。このとき、どこから情報を集めようかなどと時間を過ごしてしまえば、情報を集めるだけで何日も、下手をすると何週間もかかることになる。ここで、情報・知識を集めるということは作業に分類できる。自分の話で恐縮だが、仕事で私が情報・知識を収集するとき、本当に時間がない場合はネットでその事象の原理・基礎理論を明らかにしてそこから仮設が成り立つかどうかを考える。
また、時間が比較的あるときはその分野の専門書を購入して読み、原理・基礎理論はもちろん、もうすこし詳細な理論までを把握して、さらに論文等も手にするようにしている。
このように、やり方、フォーマットを自分なりに決めて、どうしようかと悩む時間を省いて取り組んでいる。
ここで、明らかなのは、【作業】はフォーマット化できるということだ。例えば、いつも行う計算があるならエクセル関数等を用いてフォーマットを作り、そこに数値を打ち込むだけで答えが返ってくるようにするのである。
このように【作業に対しての効率化】とは、【フォーマットを作成して簡略化すること】といえるだろう。
では、考えるということに対しての効率化とは何だろうか。
勉強して頭に入れるということに対して、時間をかけずに魔法のような意味での効率化などあるのだろうか。多くの人間は、ここを勘違いしているように思う。冒頭でも述べたように1の努力で100の成果を出すというニュアンスで述べている多くの本や記事はここでの区分の一つである【作業】だけを述べていればよいのだが、この【考える】仕事までをも含んで述べていることが多々あるのだ。
私は、情報や知識を自分の頭に入れるための勉強を行ったときの知識の習得具合は、細かく砕かれた紙を少しずつ積み上げていったときの重さに例えることができると考えている。
つまり、凡人であれば、時間は必ずかかるということだ。
しかし、それを少しはましにできる方法はあるとも考えている。
それは何かというと、陳腐なことしか言えないが、【真剣に取り組む、集中して取り組む】ことである。これによって紙をプラスチックに変えることはできるだろう。
つまり、【考えるという仕事に対しての効率化】とは、時間がかかることを前提に、時間がかかる情報・知識習得に対して【真剣に取り組む、集中して取り組む】ことであると考えている。
では、最後に【段取り】についてだが、個人的には効率化と呼ぶべきものはないと考えている。なぜなら、段取りは最適に組み合わせる、または当てはめていく作業であるからだ。そして、上記したように【考える】仕事が終わっていれば材料が出尽くしているので、さっさと時間をかけずに行うことが大切である。
まとめ
仕事の区分として、【考える】【段取り】【作業】がある。考えるということは問題・答えがないことに対して仮設を立てて、問題と答えを作ることである。段取りは、やることを整理して、最適な作業順序に組み立てることである。そして作業は、頭を使わずに行動して達成・完結できることである。そして、効率化というものは仕事をこれらに区分した後にそれぞれ考える必要がある。作業に対しての効率化は【フォーマットを作成して簡略化すること】である。それに対して、考える仕事に対しては、魔法のような効率化は存在しない。考えるためにはその前段階で知識をインプットする必要があり、それに対して【真剣に取り組む】ことこそが、唯一の効率化である。そして、段取り自身の効率化はないが、考えることが終わった後、作業を素早く最適に組み立てることで仕事が格段に早く進むようになるだろう。